脳出血で一番多い被殻出血とは?
被殻出血といは脳出血のなかで一番多い病態のことです。
被殻とは線条体・淡蒼球・黒質・視床下核からなる大脳基底核の一部のことで、大脳皮質と脳幹部と視床などを結び付けている部分のことです。
相互にシナプスのやり取りを行い神経伝達を担っていると同時に、豊富な血管網が存在している部分でもあります。
それらのなかで細い動脈が破れて出血することで周辺の脳組織が圧迫を受けることで自覚症状や他覚症状を引き起こす病気です。
被殻出血の症状
被殻は大脳皮質のみならず臓器や体温などの生理活動を調整する視床、生命活動の枢要な部分を調整する脳幹部とを結びつける神経球が密集している部分です。
そのため被殻の周辺組織を障害することで症状が多彩にでる傾向が見られます。
初期症状は頭痛や吐き気などが多いですが、被殻出血では身体の半分の手足が麻痺する「片麻痺」や麻痺が見られる反対側の目が動くなどの症状が見られます。
また体温調整する視床に障害が及ぶと非感染性の高熱状態になることもあります。
被殻出血の原因と予防
被殻出血の原因で最も重要なのは高血圧(本態性血圧)になります。
血圧が高い状態が恒常化すると血管の内壁はダメージを受け脆く崩れやすくなる訳です。
そこで寒気の到来などで外気温が低いときに、風呂に入るなどのきっかけで血圧が上昇し、被殻周辺の血管が破綻して出血が起きることになります。
従って被殻出血の予防は薬物投与と塩分の少ない食事などの生活習慣の改善などが必須と言えます。
また急激な温度変化は極力避けることも必要です。
被殻出血の治療と予後
被殻出血の治療は出血量(血腫)の量に左右されます。
●血腫量が31ml以下
保存的治療の適用になり、降圧剤投与による血圧のコントロールや輸液による全身状態の維持などが試みられます。
●血腫量が31ml以上
血腫除去術の適応になります。
出血が脳質内などに穿破した場合には水頭症のリスクが高くなるので脳質から脊髄液を排出するドレナージ留置も行われます。
死亡率は高くないですが出血量や出血部位によっては死亡したり後遺症が残ることもあります。