TIAはなぜ一過性に症状が生じる?
心臓から脳に通じている血管は内頚動脈と椎骨動脈という血管になります。
これらの血管の動脈が硬くなるとTIAが起きやすいです。
特に内頚動脈の動脈硬化がTIAの原因になります。
血管にできるこぶ「プラーク」が悪者
内頚動脈は首の前の方を通っている左右2対の動脈です。
この内頚動脈に「アテローム」というコレステロールなどが血管の内壁に付着してできたお粥状のこぶのことで、「プラーク」とも呼ばれるものができ、血管の内腔を狭めてしまいます。
血管の壁が弾力性がなくなった動脈硬化の状態の血管にはこのプラークができやすくなっています。
何らかの原因によってこのプラークに亀裂が入ると、この亀裂を修復しようと血小板が集まって血栓を作ります。
この血栓のことを「血小板血栓」といい、この血栓が血流で流れて脳の血管を詰まらせてしまうと脳梗塞が出現します。
血小板は血液を固める効果がありますが、溶けやすいという特徴もあります。
できたばかりの血栓はなおさら溶けやすいために、もし血管が血栓によって詰まって症状が出現しても、
すぐにこの血栓が溶ければ、血流は流れるため、症状も消えるのです。
これがTIAの症状が一時的であることの理由なのです。
脳梗塞の危険度を知ろう「ABC²Dスコア」
脳梗塞や脳出血のような脳卒中は、治療をしなければ時間がたてばたつほど後遺症は重くなります。
逆に、早期発見ができすぐに治療ができれば、後遺症は軽く済むということもできます。
ただの体調不良と思わずに、速やかに医療機関を受診することがとても重要です。
TIAが起きた後に実際に脳梗塞が起きるリスクは、患者さんによって異なってきます。
そのリスクの程度を簡単に評価できるものが「ABC²Dスコア」になります。
・年齢
・血圧
・麻痺が体の片側に出現しているか
・麻痺はないが構音障害があるか
・TIAの持続時間
・糖尿病があるか
を確認します。
各項目の点数を合計して点数が高いとリスクが高いことを表しています。
最高点は7点、6点以上がハイリスク、4点以上が脳梗塞のリスクが高いとなります。
このスコアは特別な器具は必要なく、ベッドサイドで簡単に評価することができます。
しかし、4点未満だからといっても脳梗塞を発症する患者さんは多くいます。
「ABC²Dスコア」だけではなく、「MRI拡散強調画像検査」「頸動脈超音波検査」の結果も併せて脳梗塞のリスクを知ることが大切です。
この「ABC²Dスコア」は心原性脳梗塞の原因である「心房細動」の有無に関しての記載はないため、
TIAがあって心房細動もあるとすると、脳梗塞のリスクが高いといえます。