小脳出血では運動麻痺・感覚障害はない
脳出血のなかでも症例の多い被殻出血では典型的な左右どちらかの身体の随意運動が困難な状態になることが良くあります。
それぞれの部位を司る中枢神経からの神経伝達が支障をきたしているので筋肉を動かすこともできず筋力低下を伴います。
これに対して小脳出血では身体の随意運動を調節する機能が障害を受けるので、片麻痺にはならないという特徴を持っています。
あくまでコントロールができなくなるであって、随意運動は行えるのです。
これは小脳が身体のバランスを整える機能を担っているためです。
個々の筋肉の筋力が低下していなくても、何らかのバランスが必要な複雑な筋力の調整を行うことが難しくなります。
そのため麻痺がないにもかかわらず、歩けなくなったり立ち上がったりすることができなくなったりする訳です。
小脳出血(小脳梗塞)での症状
小脳に出血がおきたり、血管に血栓がつまって梗塞を発症したりすると初期症状には頭痛や嘔吐が見られます。
小脳は身体全体のバランスや平衡状態を維持する役割をになっているのでめまいの他に、筋緊張低下や運動失調などのいわゆる「小脳症状」を引き起こします。
●運動失調
●回転性めまい
●嘔吐
●筋緊張低下
●歩行障害(酩酊様歩行)
これらの特徴的な症状がみられます。
具体的には麻痺などは見られないもののバランスを保って運動する機能が著しく損なわれるので
まともに歩けない・左右のバランスを取れないので立ったままの姿勢を維持することも間々ならない状況になることもあります。
また小脳は手足だけではなく、発話を調整する機能も持っているため、言葉の抑揚をうまく付けることができなくなりしゃべりづらい等の症状が出ることもあるようです。
小脳の近くには脳幹も存在するので、出血などが広がり脳幹を圧迫すると生命維持に障害が及ぶ重症例も見られます。
運動失調と麻痺の違いは?
麻痺とは神経組織の損傷または疾病により筋肉を自分の意思で動かす機能が低下した状態を意味しています。
脳梗塞などで中心神経が死滅すると、その神経の支配領域にあたる筋肉の動作させることが困難・もしくは不可能になります。
そのため皮膚に刺激を与えても痛覚などを感じることも泣く、しばしば機能が廃絶してしまいます。
これに対して小脳出血などの後遺症で見られる失調とは、
四肢や体幹などの筋肉の随意運動を調節する機能が障害された状況のことをさしており、協調運動障害との別名もあります。
麻痺と異なって筋力低下は伴いません。
典型的名症状としては「まっすぐ歩けない、ふらつく」というものがあります。