梗塞がおきた脳と反対側の半身に麻痺が出現する
脳は、それぞれの部位によって、手足を動かしたり、見たり、記憶したり、話したり、などの様々な役割が分担されています。
そのため、脳梗塞によって出現する症状は
・詰まった場所や
・梗塞の大きさ
・徐々に詰まったか、急に詰まったか
などの梗塞の条件によって症状は様々なものになります。
症状の特徴としては
多くの場合、梗塞が起きた脳の反対側の半身に出現します。
・右脳で梗塞が起きた場合は、症状は左半身に出現
・左脳で梗塞が起きた場合は、症状は右半身に出現します。
これは、運動の指令は運動前野からはじまり錐体路とよばれる伝導路を通って脊髄、
そして手足に伝達されますが、この錐体路は首あたりで左右に交差しているために、
梗塞した脳とは反対側に症状が出現する理由なのです。
脳のどこが詰まるとどんな症状が出現するのか
内頚動脈が詰まった場合
内頚動脈は首の前の方を通っている大きい血管で、左右2本通っており、左の内頸動脈は左の脳を栄養し、右の内頚動脈は右の脳を栄養しています。
この内頚動脈は太い動脈なのであまり詰まることはありません。
もし詰まった場合は、
・反対側の手足の運動麻痺
・反対側の顔や手足の感覚障害
・言語障害
・嚥下障害
・失語
などの症状が出現します。
内頚動脈は眼球にも栄養を送っている血管なので、ここが詰まると失明する場合もあります。
中大脳動脈が詰まった場合
中大脳動脈は最も詰まりやすい血管であり、脳梗塞全体の60~70%とされています。
内頚動脈は首から脳に入ると、そこで前大脳動脈と中大脳動脈に分かれます。
中大脳動脈のはじまりの部分で梗塞が起きると様々な症状が出現します。
・反対側の手足の運動障害
・反対側の感覚障害
・失語
・失読
・失書
・失認
・失行
・同名半盲
などが出現します。
特徴的なのは
利き手の反対側の脳を優位半球(ほとんどが左側の脳)と呼びますが、ここには言語中枢があるため、失語症や失読、失書などの症状が出現します。
前大脳動脈が詰まった場合
前大脳動脈は、内頚動脈が脳に入ってから枝分かれした動脈で、主に前頭葉を栄養しています。
・反対側の手足の運動障害
・反対側の感覚障害
・記憶障害
・尿失禁
・注意障害
・脱抑制
前頭葉は感情や思考、知能、抑制などをコントロールしている部分であり、高次脳機能障害といわれる症状が出現します。
また、麻痺は手よりも足に強く出現する傾向にあります。
後大脳動脈が詰まった場合
後大脳動脈は後頭葉を主に栄養している血管であり、椎骨動脈の分枝になります。
後頭葉は視覚野があるため、ここが障害されると視野の半分が見えなくなる半盲という症状が出現します。
・半盲
・失認
・反対側の感覚障害
・吐き気やめまい
後大脳動脈は視床という感覚の中枢にも血液を送っているため、ここが詰まると感覚障害が強く出現する可能性があります。
脳底動脈が詰まった場合
脳底動脈は、左右の椎骨動脈が脳に入ってから合流した血管のことであり、
脳幹部といわれる意識や呼吸や循環などのヒトが生きるための機能をコントロールしている部分に血液を送っています。
・吐き気
・めまい
・意識障害
・顔面神経麻痺
・感覚障害
・構音障害
・嚥下障害
・重篤な場合は呼吸がとまる
などの症状が出現します。
ほかの動脈の梗塞と比べると、麻痺というよりもヒトの生命に関わる機能の障害をもたらすことが特徴的です。