脳梗塞の発症直後は絶対安静!!
急性期では全身状態がそれ以上に悪化しないようすることが重要になります。
そのために発症後24時間はベッド上での絶対安静とし、血圧や呼吸状態、体温、水分のin/outバランスなどの管理を行います。
脳梗塞急性期の血圧のコントロール
脳梗塞の発症直後は脳浮腫による頭蓋内圧亢進などによって血圧が上昇しやすくなっています。
しかし、血圧をこのタイミングで下げるよう降圧治療を行うと、脳への血流が減少してしまい症状の悪化につながるため、原則としては降圧治療は行いません。
血圧は発症後1週間ほどで自然と下がってくることがほとんどです。
しかし、t-PA療法によって血栓溶解療法を行っている場合や心原性脳梗塞のため抗凝固療法を行っている場合は
出血性梗塞を予防する目的で降圧治療をすることもあります。
脳梗塞急性期の呼吸管理
意識障害があり呼吸困難のケースの場合はまず気道確保を行います。
それでも気道確保が十分に行えていない場合は、気管内挿管をの処置をします。
意識障害がなかったり、明らかな低酸素血症でない場合は、酸素投与はしないことが原則です。
高濃度の酸素は活性酸素を増やしてしまうために脳組織にダメージを与える危険性があるためです。
脳梗塞急性期の体温管理
急性期には体温が上昇することが多いですが、脳梗塞の場合は体温上昇が1~2℃でも脳損傷を悪化させる危険があります。
たいおんが上昇している場合は、その原因の除去とアイスノンなどを使用して体温を下げる処置が必要になります。
水分補給と栄養補給
脳梗塞の急性期は嘔吐や発汗のために脱水症状を引き起こすことがあります。
体内の水分量の減少は脳血流の減少につながり、症状の悪化を招き、また血液の粘度が高まり新たに血栓ができやすくなってしまいます。
そのため点滴などによって水分補給を行う必要があります。
しかし、水分も摂取すればいいというわけではありません。
過剰な水分補給は脳浮腫の悪化を招くため管理しなければなりません。
水分補給も大事ですが、栄養補給も必要です。
脳梗塞で意識障害や嚥下障害があると食事摂取ができなく栄養補給ができないことがあります。
・静脈栄養
・経鼻栄養
・胃ろう
・経口摂取
これらの栄養摂取の方法を患者さんの状態をみながら選択していきます。
脳梗塞急性期には排尿や排便管理も
意識障害などによって自力での排尿ができない場合は尿道カテーテルを留置する処置がとられます。
しかし、長期の尿カテーテルの使用は尿路感染の危険もあるため注意する必要があります。
また発症直後は水分の制限などによって便秘になることがあります。
その場合は下剤や浣腸によって排便させることがあります。
合併症の予防
脳梗塞の急性期には、免疫力の低下からさまざまな合併症を引き起こす危険があります。
・尿路感染
・呼吸器感染
・転倒
・褥瘡
などです。
これらの合併症の治療が長引けば、集中的な急性期からのリハビリが十分には施されず、
身体の機能回復がおくれ、重い後遺症が残ってしまうことにつながるため、
そのためにも合併症の予防はとても重要になります。