血栓を溶かす薬である「t-PA」とは
脳梗塞が発症した直後に行う治療法に、t-PA療法というものがあります。
身体の中にはプラスミンという酵素が存在していますが、この酵素は前駆体であるプラスミノゲンから作られています。
t-PAとは血栓を溶かす作用がある薬のことで、プラスミノゲン活性化因子のことです。
プラスミノゲンの作用を増強しながら、血栓を強力に溶解します。
他の溶解薬は、溶かす力が十分ではないのが問題点でした。
血栓を溶解するために薬の量を多く使うと出血を起こしやすくなるので、治療に支障をきたしていたのです。
その点t-PAは血栓自体に作用するので、脳梗塞が起こった際に投与すると高い効果が得られます。
早い時期にこの方法で成功すると急速に症状が改善した例もあり、全く後遺症が残らなかった患者さんもいます。
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「t-PA」で治療ができない場合
t-PAは血栓溶解療法に適した薬ですが、脳梗塞が発症してから3時間以内に行わないといけません。
それを過ぎてから投与すると、脳出血を起こす危険性が高くなるので注意が必要です。
過去に脳出血を起こしたことがある人や脳梗塞の範囲が広い人、血圧が非常に高い人などもt-PAを使用することはできません。
この方法で治療ができない場合はカテーテルが効果的です。
カテーテルであれば、脳梗塞を発症してから3時間を過ぎても8時間以内なら血管内治療を行うことができます。
脚の付け根の動脈からカテーテルを脳の血管に送り込み、先端についた医療用装置により脳の血管に詰まっている血栓を取り除きます。
近年は機能的で安全性の高い医療用装置が登場してきたので、後遺症を残さなくて済むケースが増えてきています。