なぜ高血圧の薬とグレープフルーツは飲み合わせが悪いのか
高血圧の薬は、血管を拡張させるための成分であるカルシウム拮抗薬と呼ばれる有効成分が含まれています。
カルシウム拮抗薬は肝臓でCYP3A4と呼ばれる酵素の働きによって分解されて体外に排出されるため、分解されることを考慮した上で薬には多めに有効成分が含まれています。
グレープフルーツの果肉や果汁には、フラノクマリン類と呼ばれる有機物質が含まれます。
フラノクマリンは、薬の成分を分解するCYP3A4の働きを弱めてしまうという特徴があります。
そのためグレープフルーツを食べて薬を服用すると長時間にわたり薬効成分の血中濃度が高くなってしまい、薬が強く作用してしまいます。
もしもグレープフルーツを食べて高血圧の薬を服用すると必要以上に血圧が低下して、心拍数の増加やめまい・頭痛・顔面紅潮などの副作用が出る危険性があります。
みかんやレモンなどのほかの柑橘系の食べ物はどうなのか
みかんやレモンなどもグレープフルーツと同じ柑橘類なので、似たような成分が含まれています。
ただしフラノクマリンの量に違いがあり、種類によっては副作用の心配がないものがあります。
副作用のリスクが低いもの
●温州みかん
●カボス
●バレンシアオレンジ
●ネーブル
●柚子
であれば副作用のリスクが低いです。
逆に
フラノクマリンが多く含まれるもの
●夏ミカン
●ハッサク
●ブンタンなど
はグレープフルーツと同じようにフラノクマリンを多く含むので、薬の飲みあわせを避ける必要があります。
高血圧の薬に限らず、医薬品を服用する際は食べ物にフラノクマリンが含まれているか含まれていないかを確認しておくことが大切です。
柑橘類の果肉や皮以外に、果汁に多くのフラノクマリンが含まれている場合があるので注意が必要です。
コップ1杯のジュースでも、数個分の果実のフラノクマリンが含まれている場合があるからです。
どうしてもグレープフルーツが食べたい場合
グレープフルーツに含まれるフラノクマリンは排出されるまで、薬の副作用を強める恐れがあります。
グレープフルーツジュースのお薬への影響は、摂取後、数十時間 持続すると考えられています。
そのため、薬を服用している間はグレープフルーツやフラノクマリンを多く含む柑橘類のジュースを控えるのが賢明です。
どうしてもグレープフルーツが食べたい場合には、薬を服用してから十分な時間を空けて食べるように注意を払うようにします。
ジュースには多くのフラノクマリンが含まれるため、コップ1杯も控えるのがいいでしょう。
グレープフルーツ以外でフラノクマリンの少ない柑橘類を食べるようにしたり、果汁が含まれていないフルーツ味の清涼飲料水を飲むこともできます。