脳卒中後の麻痺が治る3つの回復過程について解説



神経の再組織化

脳卒中では、脳に血液が十分に送られなくなり脳が必要としている酸素や栄養が不足して、脳の神経細胞が傷ついたり死んでしまって麻痺が起こります。

脳細胞は再生しないために脳卒中後に麻痺が残る場合が多いのですが、損傷を受けた脳の部位や範囲によって回復は見込めます。

発症直後には、死んでしまった脳細胞だけでなく一部が傷ついた細胞も、損傷を受けてはいない周辺の神経もうまく機能できなくなっています。

部分的に損傷を受けた細胞は修復が可能です。

また、脳卒中を発症したためにうまく機能できなくなっていた神経も再び機能できるようになります。

発症後から3ヶ月ごろまでは、このような神経の再組織化によって麻痺の回復が起こります。

 

皮質間の新しいネットワークの構築

脳の神経細胞はネットワークを作って情報を伝達しています。

脳卒中では脳細胞が死んでしまったり傷つくことで、このネットワークが途切れて麻痺が生じます。

前述の通り、死んでしまった脳細胞は再生しないので、残った神経細胞で新しいネットワークを作っていくことになります。

災害で道路が寸断された後に、被害の少ない周辺の道を修復したり新しく道を作って交通網を回復させるようなイメージです。

このネットワークの構築は、発症後3ヶ月~6ヶ月ごろまでが盛んに行われる時期です

よく脳卒中後はリハビリが大事といわれますが、この期間がリハビリによる麻痺の回復の効果が大きい時期になります。

発症後6ヶ月を過ぎると新しいネットワーク構築の働きもだんだん鈍くなってくるので、時期を逃さないことが大切です。

神経細胞同士の伝達の効率化

発症後6ヶ月を過ぎてからは新たに構築されたネットワークの強化を図る時期になります。

できたばかりの新しいネットワークは、しばらく使わないでいるとなくなってしまいます。

脳の神経細胞同士はお互いが接触しているわけではなく、神経細胞の間にはわずかな隙間があります。

この隙間はシナプスという構造で情報の伝達が行われます。

シナプス間では情報の伝達が頻繁に行われるところは強化され、使われないところはなくなっていくという性質があります。

一生懸命リハビリしてできるようになった動作も、一旦できるようになったからといって、その後放っておいてはまたできなくなってしまいます。

生活上では、リハビリでできるようになった動作を繰り返し行ってて定着させる時期にあたります。





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