脳幹出血とは?
脳幹出血はその名の通り、脳の脳幹部分に出血が生じる現象です。
脳幹は血圧や呼吸など生命維持の中枢に位置するので、ここに出血が生じると全身に影響が現れます。
血圧も呼吸も、脳幹の重要な機能で体の基本ですから、特に気をつけなければいけない部位だといえるでしょう。
いわゆる自律神経が脳幹の重要な機能なので、そこに関連する全ての身体機能のリスクが高まります。
中脳は視覚と聴覚、それに眼球運動や筋肉の緊張と緩和を司ります。
延髄は、嘔吐や嚥下に呼吸に関する大切な部分ですから、これらを含む脳幹の重要性は誰でも想像できるはずです。
脳の表面部分や心臓も大事ですが、脳幹はまさに生命維持の中枢なので、普段あまり意識しなくても無視することのできない部分です。
脳幹出血の生存率と予後
脳幹出血が発生した場合の生存率は、一般的に20%~30%といわれています。
これは発見のタイミングに左右されますし、どれだけ早く治療が始められるかにもよります。
生命維持の中枢ですから、命をとりとめても意識障害が残りやすいことが挙げられます。
また、橋以外にも血腫が広がっていると、より命をとりとめても意識障害が残りやすいですし、予後不良の因子にもなり得ます。
来院時に重度の意識障害がある場合は、一刻を争う状況ですから、速やかに診断して治療を始める必要があります。
脳幹出血は、時間が経つとその影響が広がるので、早く保存的な治療に入るのが理想的です。
予後は出血部位や治療によりますが、半身に麻痺が残ったり感覚や言語に障害が出ることがあります。
手術できない理由と意識障害の因子
脳幹は脳の奥深くにあるので、手術するのは非現実的ですし、殆どの場合は保存的な治療に留まります。
つまり、位置的にリスクがとても高く、失敗して余計に悪化する可能性があるというわけです。
しかも手術で期待できるメリットは小さいですから、あえて外科的な方法を選ぶことは稀です。
意識障害が回復するのか、これについてはケースによりますし、人によってはいわゆる植物状態になることもあります。
意識障害の因子は出血量で、そのまま症状が進むと呼吸が停止したり、生命維持に支障が出てきます。
治療が早ければ意識障害のリスクは減りますし、予後が良好になる可能性も高まります。
手術ができない以上は、脳幹出血の発生を回避する予防に努め、発症因子を減らすのが現実的です。