麻痺側の曲がった指を柔らかく伸ばすコツを解説していきます。
指がまがってなかなか伸びないという方に役立つ内容になります。
麻痺して硬く曲がった指をストレッチするのはダメ!?
緊張が高くて硬い腕の場合は、腕と指が勝手に曲がってしまいます。
そのときにみなさんはどうしますか。
固まるのは嫌ですから、いい方の手で「ぎゅっ」伸ばしている人が多いと思います。
なかには「ぎゅっ」と伸ばすことで痛みが出てしまう人いるのではないでしょうか。
実はそれはあまり良くありません!!
伸ばしてあげることはいいことですのでやってほしいですが、「ぎゅっ」と伸ばしてすぐに手を離している場合はあまり良くありません。
伸張反射という言葉は聞いたことありますか?
よく小さいころに膝の腱を叩いて膝が「ポーン」と勝手に伸びる“脚気”というのをしたと思いますが、あれがまさしく伸張反射というものです。
腱は急に伸ばされると、そのあとに縮まるという反射があるためです。
そのため指を「ぎゅっ」と伸ばしてすぐに手を離してしまうと、伸張反射で手はすぐに曲がってしまいます。
伸ばしたいのに、曲がることを助長させてしまう恐れがあります。
なので、「ぎゅっ」と伸ばさずに「ジワー」と伸ばしてその伸びた状態を手が勝手に曲がろうとしなくなるまで、およそ10秒くらいでしょうか、伸びたままをキープするようにしましょう。
しかし、これは一時的に柔らかくなっている状態であり、また動いたりすると手や肘は曲がってきてしまいます。
脳に手・指が曲がる癖がついている
一時的に柔らかくなるものの持続しない理由はなんなのでしょうか?
脳の中で勝手に麻痺の手が曲がるという癖みたいなのが染みついてしまっているからです。
なので癖ついたものを、正しい動きを学習して癖をとっていく必要があります。
そのポイントは「手の正しい感覚を身につける」ことです。
動く指令を出すためには、手の正しい感覚が脳に届いていないといけないのです。
麻痺した手・指の正しい自主トレの実際
1.まずは麻痺の手の感覚を知ろう
実際にどんな手の感覚が大事なのか、いまの麻痺の手がどう間違った感覚を身に着けてしまているのかを確かめてみましょう。
麻痺側を右手と仮定して話をします。
いい方の手(左手)で麻痺の指(右手)を伸ばしていきましょう。
このときに目をつぶりましょう。
目を開けていると目からの情報がたくさん脳に入ってしまうので、手の感覚がわかりにくいからです。
いい方の手で麻痺の指を開いたときに、
・麻痺の手は開いている実感はありますか?
・手のどの部位が開いているのでしょうか?
・どこでその動いている感じがわかりますか?
なかにはまったく感じない人もいるかもしれませんし、手のひらが「ぎゅっ」と伸ばされている感じがするという人が多いと思います。
しかし、それは間違った感覚です。
では正しい感覚はどういった感覚なのでしょうか?
2.正しい手の感覚を感じる
正しい手の感覚というのは、いい方の手(左手)の動きの感じになります。
いい方の手を軽く「グーパー」して手を握ったり開いたりしましょう。
このときに手のひらはどのような感じがするでしょうか。
握るほうだと、指の関節の部分の皮膚(写真の黄色で囲った部分)が「にゅ~」とくっついていく感じがすると思います。
開く方だと、くっついたところが「ふわー」と離れていく感じがすると思います。
「ぎゅっ」といった感じはしないと思います。
それが正しい感覚になります。
それを繰り返してゆっくり感じていきましょう。
3.麻痺の手でも同じ感覚で握ったり離れるのをイメージして動かす
これと同じ感覚、「にゅっ」とくっついたり、「ふわー」と離れる感覚を麻痺の手でも探してみます。
ポイントは「ぎゅっ」とやらないこと
麻痺の手が硬い人は伸ばし切ろうとはしないようにしてください。
どうしても突っ張りがでてしまい、突っ張りの感覚に意識が持っていかれて、正しい感覚がわかりにくくなるためです。
ある程度の突っ張りが少ない範囲で行いましょう。
徐々に突っ張らない範囲が広がってくるので、そうなったら徐々に開く範囲を大きくしましょう。
では実際にやってみましょう。
麻痺の手はリラックスさせているほうがいいので、机の上に手を置いたり、自分の膝の上でやるようにしましょう。
ゆっくりいい方の手麻痺の手をでひらいたり、閉じたりします。
このときに、さきほどのいい方の手の感覚、
曲げたら関節の節々の皮膚が「にゅ~」とくっついてきて、
開いたら、節々が開いていく感じはどうですか?
麻痺の手で感じれますか?
硬さはどうでしょう?
同じではなくても薄っすら感覚があるでもいいです。
うまくその感覚がつかめると、最初よりも手は柔らかくなっていると思います。
この動いたときの正しい感覚を感じることは、脳に正しい感覚が学習されるということになり、硬くするという間違った癖が抜けてきて、徐々に柔らかくなってきます。
まとめ
このトレーニングでうまくいかない、変化がないという方もいるかもしれません。
それはこのトレーニングが当てはまらないということではなく、今回解説した気をつけ方ではなく、違う気をつけ方を試してみたり、違うトレーニングをした後だと、今回の効果がまた現れてくることがあります。